呼吸器内科医の魅力:5つの理由

専門医制度の変更に伴い、福岡大学内科系診療領域は、内科全体で研修医教育をどうするか話し合い,若い医師が各科横断的に自由に研修できるシステムを作っています。 われわれの目指している医師像とは幅広い内科的知識と技量に裏打ちされた呼吸器専門医です。いったん呼吸器内科に所属してももっと内科全体の技量を磨きたいと考えている方もいるはずです。そのような方のために積極的に他の内科での研修の機会を作ることもお手伝いします。腫瘍専門医、感染症専門医、アレルギー専門医などの専門医を目指したい方、救命領域を行い方、将来的に開業、家庭を大事にされたい方々と、いろいろなニーズに丁寧に答えていきたいと考えています。 どうぞ一度我々の診療現場に足を運んでみて下さい。呼吸器内科教授 藤田 昌樹
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高齢化社会における呼吸器内科医の圧倒的なニーズ

益々加速する高齢化社会の中で、呼吸器内科医の不足は深刻な状況になりつつあります。高齢化は医療者にとって非常に重要で問題で、2050年には人口の約40%が65歳以上の高齢者で占められることが予測されています(国立社会保障・人口問題研究所 平成24年1月推計より)。また、高齢化に伴う疾病構造の変化により、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、呼吸器感染症、肺癌などの呼吸器疾患が増えつつあります。世界的にみても呼吸器疾患の増加は顕著であり、WHOでは、世界の死因の3~5位をCOPD、呼吸器感染症、呼吸器腫瘍で占めると予測されています。しかしながら、本邦における3大内科疾患である循環器、消化器、呼吸器領域において、消化器専門医 18876名、循環器専門医 12830名いるのに対し、呼吸器専門医 5149名と圧倒的に少ない状況です (平成25年8月)。今後少なくとも数十年間は地域社会における呼吸器内科医のニーズ(需要)、重要性が大きくなり続ける専門領域、それが呼吸器専門医です。
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様々な医療現場で活躍できる呼吸器内科医

呼吸器内科医は、呼吸不全等の急性期疾患も多く、人工呼吸管理など全身管理に強くなります。肺癌やCOPDなどの慢性疾患もバラエティに富んでおり、病気に苦しむ患者さんとじっくり付き合えます。また、終末期医療に関わることも多く、最後まで患者さんや家族と【生死】について向き合うことができます。このように、急性期から慢性期まで様々な医療現場で活躍できる呼吸器内科医はちょっと大変な時もありますが、病院ではなくてはならない頼りがいのある存在です。一緒に楽しく、頼りにされる呼吸器専門医を目指していきましょう。 <画像読影> 胸部X線写真、胸部CT、MRI、PET検査など多岐にわたる画像読影技術が学べます。一枚の画像所見から、病歴や検査結果を参考に多くの鑑別疾患を挙げる創造力(一種妄想力)が求められ、確定診断にたどり着くまで謎解きのようなおもしろさもあります。 <手技> 呼吸機能検査、胸腔穿刺・ドレナージ(胸膜癒着術)、気管支鏡、局麻下胸腔鏡、経皮肺生検、気管支肺洗浄、超音波気管支鏡(EBUS)を用いた気管支鏡検査(EBUS-GS, EBUS-TBNA)、喀痰グラム染色など様々な検査法や手技を学べます。  また、当科では福岡県内でも数施設しか採用されていないクライオバイオプシーを学ぶことができます。クライオバイオプシーは、組織を凍結して採取する新しい技術で、診断率の向上が期待できます。 <全身管理> 急性呼吸不全に対する救急処置、全身管理(酸素療法、NPPVを含めた人工呼吸器の取り扱い、輸液・栄養管理など)、慢性呼吸不全に対する在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、睡眠時無呼吸症候群に対する持続陽圧呼吸療法など呼吸器管理を学べます。 <種々の内科的治療> 感染症における抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、COPD、気管支喘息、アレルギー・膠原病、間質性肺疾患におけるステロイド薬、気管支拡張薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、腫瘍性疾患における抗がん薬(細胞傷害性抗癌剤)、各種分子標的薬(EGFR-TKI, ALK阻害剤、BRAF阻害剤等)、免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)、血管性疾患に対する抗凝固薬、血栓溶解薬、緩和医療における鎮痛剤(オピオイド等)など多岐に渡る内科的治療について学び、習得することができます。
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多岐に渡る呼吸器疾患、手技や技術が学べます(From General to Specialty)

日常臨床の主訴で多くを占める咳(内科外来 1位の主訴)の患者の鑑別診断や胸部異常影の診断をはじめ、感染症、閉塞性肺疾患、腫瘍性疾患(部位別癌死亡者数 ... 1位:肺がん)、アレルギー性・膠原病関連肺疾患、間質性肺疾患、血管性疾患など、多岐にわたる疾患領域を学べます。その他、肺は全身を反映する鏡と言われており、内科診療の主軸臓器として分野横断的な疾患を総合的に習得することができます。 <画像読影> 胸部X線写真、胸部CT、MRI、PET検査など多岐にわたる画像読影技術が学べます。一枚の画像所見から、病歴や検査結果を参考に多くの鑑別疾患を挙げる創造力が求...
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福岡大学呼吸器内科の魅力

アジアとの玄関口であり、人口増・人口増加率で20政令指定都市の中でもトップを走る福岡市の西南部、糸島地区を中心に関連施設は広がっています。福岡大学を中心に近くに関連病院が多くあり、【人の輪】というかけがえのない財産を育みます。年に何度も勉強会や研究会等の会合で、仲間の先生方と交流でき、地域医療の頼りになる開業医の先生方とも患者の紹介や相談も容易です。福岡大学筑紫病院、福岡大学西新病院、福岡山王病院、福岡徳洲会病院等の関連病院が福岡西南部圏に集中しており、転勤になっても引越しは不要、というのも隠れたメリットです。当教室は自由闊達な雰囲気の中で伸び伸びと臨床、研究活動を行っております。教室員の出身大学は様々で、九州だけでなく日本中津々浦々から貴重な人材を受け入れています。入局後は、本人の希望をできるだけ聞き入れる柔軟な進路相談を行っています。地域の基幹病院で呼吸器専門医として従事する、開業する、非常勤で働く、基礎研究者になる、製薬会社勤務など様々な進路希望に対し、柔軟に対応しております。私たちと一緒に希望にあったキャリア形成を見つけて行きましょう。また、当教室は育時休暇などの女性のキャリア形成にも積極的に対応しています。
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福岡大学病院での臨床経験と研究

大学病院の意義の1つとして、大学特有の臨床を経験できるという点が挙げられます。福岡病院呼吸器内科では呼吸器外科との連携で肺移植などの先進医療や、様々な治験や臨床試験を通して新規治療など次世代の有力候補となる治療経験を積むことができます。大学病院のもうひとつの意義として研究があります。呼吸器疾患は上記のように治療法が確立されていない難病や重篤な疾患が多く、その分子病態の解明と新たな検査法や治療法の確立は社会から強く求められています。当科では、肺癌免疫療法における新しい治療予測バイオマーカー研究等、独自の臨床研究を複数実施しております。今後、肺癌治療に関する基礎研究も開始する予定です。福岡大学には、薬学部や工学部のある総合大学であり、領域横断的に研究システムが揃っています。RI実験、動物実験施設、大型実験機器、種々の倫理委員会、知財や産学連携、研究成果を世界に発表するサポート体制も万全です。是非一緒に福岡大学発のエビエンス創出に取り組み、未来の呼吸器医療に貢献していきましょう。

研修プログラム

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様々なニーズに合わせて自由に研修できるシステム

福岡大学病院研修プログラムの目的は、研修理念と研修目標の達成を念頭に置いて、すべての研修医が全人的で科学的根拠に基づいた医療が実践できることです。本プログラムの特徴として、福岡大学病院を基幹型臨床研修病院、福岡大学筑紫病院を協力型臨床研修病院とする二つの大学病院を主体とし、さらに地域の協力型臨床研修病院及び臨床研修協力施設とともに臨床研修病院群を構成することにより研修医がより効率的に研修できるように企画された点が挙げられます。指導体制は屋根瓦式を取り、2020年4月現在で200名以上の指導医(臨床経験7年以上で、臨床研修指導医講習会などプライマリ・ケアの指導方法等に関する講習会で研修)が在籍し、卒後臨床研修センターが中心となって研修を全力で支援しています。大学病院の各医師が教育者としての高い意識を持って、熱心な医学教育が実践されています。
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関連病院との合同研修により幅広く学べる

福岡大学病院と福岡大学筑紫病院と一緒に研修を行います。福岡大学病院では肺癌、間質性肺炎などを中心に、肺移植まで先端的医療を学びます。福岡大学筑紫病院は市中病院の顔を持つ大学病院です。感染症、COPD増悪など日常診療に沿った医療を学びます。車で30分以内の距離ですので、引っ越しの必要もなく、雇用主も福岡大学と同一ですので退職などの手続きも必要ありません。また、救命センターとも密接な関係を築いていきますので、救命センターへもローテーションを可能です。関連病院は、福岡市近郊の総合病院です。これらの市中病院での臨床研修を繰り返すことにより、幅広く呼吸器疾患を学ぶことができます。以下に列記する専門医が取得可能です(日本内科学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本感染症学会、日本アレルギー学会、日本臨床腫瘍学会)。
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様々な症例が豊富に経験できる万全なチーム体制

福岡大学病院の研修について説明します。30床の入院ベッドを持っています。上級指導医1名+指導医1名+後期臨床研修医1名+(初期臨床研修医1名)の3-4名1組の主治医体制を組んでおり、このチームが計3チームあります。約30~40名の入院患者さんを10人余りの医師で診療しており、患者さんに対しての医師の人数でいくと一般の市中病院に比べかなり手厚い体制と思います。(近隣の中核病院の呼吸器科は40~50床を3~4人の医師で診ているのが一般的です。)しかし、別の考えでは、1チームでは10名強の症例が常時経験でき、つい肺癌に偏りがちな研修を非癌・炎症性疾患まで範囲を拡げる事ができます。また、チーム制ですので、どうしても夜間の呼び出しなどにも支障が生じる場合でもカバーできます。子育て中の女性医師も勤務されています。 1週間に6回の全体カンファレンスを開き、問題症例や治療方針についてかなり時間をかけてディスカッションを行います。月曜日には肺癌カンファを呼吸器外科、放射線科、病理学と合同開催しています。夕方以降は十分な時間を自由に使えますし、休日も確保できます。学会、研究会や大学内で開催されるカンファレンスへも参加できます。以上、研修医への負担を少なく、しかも症例数はある程度確保でき、教育内容も他施設と比較して遜色ない体制と自負しています。働き方改革に準拠し、残業をなるべく少なくするように努めています。
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入局や大学院入学を希望される方

大学病院の重要な役割の1つとして、現状の呼吸器診療の臨床的疑問や基礎医学におけるunknownを解明するための研究活動があります。大学院に入学し、当科での研究活動実施後、医学博士号を取得できます。当科で研究を行いたい方は、大学院へ随時入学が可能ですので(当科での研究については以下をご参照ください)、いつでもご相談ください(こちらからご相談下さい).

取得可能専門医:日本内科学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本感染症学会、日本アレルギー学会、日本臨床腫瘍学会、      日本睡眠学会、日本結核・非結核性抗酸菌症学会

週間スケジュール

午前8:45-11:00 入院紹介 回診 
午後16:00-17:00     腫瘍カンファ18:00-18:30     外科/放射線科/    病理合同カンファ16:00-17:00          びまん性肺疾患カンファ15:00-16:00      研究カンファ 16:00-17:00      全体カンファ 抄読会16:00-17:00 COPDカンファ 感染症カンファ 重症者回診  18:00- 移植カンファ

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